母から託された
「シニヘンの記憶」
資料整理・聞き取り調査・母と歩んだ研究の記録
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概要 母が残してくれた資料を手がかりに、シニヘン・ブリヤート人の記憶を整理しました。 2004年から続く聞き取り調査、写真資料、手書きの記録を通して、母とともに歩んだ研究の日々を振り返ります。 |
この連休、私は母が残してくれた資料と向き合いながら、「シニヘンの記憶」を少しずつ整理していました。
それは単なる資料整理ではなく、母から託された記憶を読み解く時間でもありました。
1. 2004年、調査プロジェクトから始まった道のり
私の研究の大きなきっかけになったのは、あるブリヤート・モンゴル人のライフヒストリー調査プロジェクトに参加したことでした。
このプロジェクトを通じて、2004年から公宅静江さんとの本格的な対話と聞き取り調査が始まりました。
以来、静江さんから託された重厚なアルバムを手がかりに、1930年代のハイラルやシニヘン草原の資料を読み込み、少しずつ整理する日々が続いています。
そして昨年、2025年5月31日には、こうした資料をもとに当時の生活文化を読み解く研究発表を行うことができました。長い時間をかけて向き合ってきた資料が、少しずつ形になってきたことを感じています。
2. 母から託された手書きのバトン
今回の連休は、かつて母が私のために集めてくれていた膨大な資料の整理に没頭していました。
母はいつも私の研究に期待を寄せ、将来のためにと、たくさんの資料を大切に保管してくれていました。連休中は、その母のくれたシニヘンの手書きの資料を一字ずつ読み解き、書き起こしていきました。
一文字ずつ追っていく作業は、決して楽ではありません。けれど、その文字の向こうから、当時を生きた人々の息遣いや、母の思いまでもが静かに立ち上がってくるようで、何度も手を止めながら読み進めました。
3. 母と一緒に向き合った調査の日々
今回「カタログ」を整理していると、母と一緒に調査に回った日々の情景が次々によみがえってきました。
母は、ただ資料を集めてくれただけではありません。実際の聞き取りの場でも、いつも私の隣に座ってくれていました。
たとえば、サンジドマさん――ウルジン将軍の娘さん――への聞き取りでは、母がそばで自然に会話をつないでくれたおかげで、家族だからこそ知っている将軍の素顔や、当時の家庭の空気を、そのままのかたちで記録することができました。
また、シニヘン寺院の僧侶の方々にお話を伺ったときも、母が一緒に座り、言葉を交わしながら場を和らげてくれたことが、信頼関係を築くうえで大きな支えになりました。
今振り返ると、あの調査はまさに母との二人三脚だったのだと思います。
4. 連休の成果――二つの「カタログ」が形になった
この連休、集中して資料整理を進めたことで、写真と説明を組み合わせた二つの「カタログ」を形にすることができました。
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連休中に形になった二つのカタログ ● シニヘン・ブリヤート人主要人物カタログ 母の資料や手紙を照らし合わせながら、1930年代にこの地で生きた人々の系譜を整理し、まとめました。
● シニヘン寺院 人物カタログの姉妹編として、当時の人々の精神的な支えであった寺院についてまとめたものです。 |
写真と資料、そして聞き取りの記憶がつながることで、遠い時代が少しずつ輪郭を持って立ち上がってくるように感じます。
5. 母への感謝、そして未来へ
資料整理を終えた今、改めて母への感謝の気持ちでいっぱいです。
母が信じて託してくれたこの「シニヘンの記憶」は、私にとってかけがえのない宝物です。そして、静江さんから預かったアルバムもまた、一つの時代を解き明かす大切な手がかりになっています。
こうして整理した記録を、いつかきちんと次の世代へ手渡していきたい。子どもたちにも、その先の誰かにも、この記憶が静かに受け継がれていくことを願っています。

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