アニメ制作の現場で、モンゴル語音声指導に関わりました
このたび、アニメ制作の現場で、モンゴル語の音声指導に関わらせていただきました。
今回のご縁は、友人からの紹介でした。以前、ドラマ『VIVANT』に関わる俳優の方へ、Zoomを通してモンゴル語の音声指導をした経験があり、そのことを知っていた友人が、今回のアニメ制作の現場につないでくれました。
『VIVANT』の時はオンラインでの指導でしたが、今回は実際に制作現場へ行き、防音室の中で声優さんや俳優さんと一緒にスクリーンに向かいながら指導しました。ガラス張りの向こう側では、多くのスタッフの方々が別のスクリーンを見ながら、収録の様子を確認していました。
私にとって、防音室での音声指導は初めての経験でした。普段の教室でのレッスンとも、Zoomでの指導とも違い、とても新鮮で、感動的な時間でした。
漫画との出会い
私は普段、漫画をあまり読む方ではありません。正直に言えば、以前は「漫画は子どもが読むもの」という思い込みもありました。けれども、今回関わる作品だと知り、書店で『天幕のジャードゥーガル』を購入しました。実際に読んでみると、13世紀のモンゴル帝国、ペルシア、カラコルム、歴史、文化、ことば、そして人物たちの生き方が、とても興味深く描かれていました。
漫画という形だからこそ、多くの人に歴史や文化をわかりやすく届けることができるのだと感じました。漫画は、ただ楽しむだけのものではなく、歴史や文化への入口にもなるのだと、考えが大きく変わりました。特に、モンゴルに関する描写は、私にとっても大変興味深いものでした。
自分なりの準備
音声指導に行く前、私は自分が指導する場面にシールを貼り、内容を覚えようと自分なりに準備しました。短いセリフであっても、発音、アクセント、意味、場面の空気感を確認する必要があります。ただ音を直すだけではなく、その言葉がどのような場面で使われるのか、どの人物が、どのような気持ちで言うのかを考えながら確認しました。
モンゴル語は、単なる外国語のセリフではありません。
その音の中には、歴史、文化、土地、人々の感覚が含まれています。
現場での音声指導
今回の音声指導では、チンギス・ハーン役を担当された方への指導もありました。
また、チンギス・ハーン役だけでなく、他の役を担当する日本人俳優の方にも、モンゴル語のセリフについて発音やアクセントを確認しながら指導しました。
日本人俳優の方には、モンゴル語の音をどのように聞き取り、どのように口の形を作って発音するかを、できるだけわかりやすく伝える必要がありました。一方で、モンゴル語がわかる方であっても、作品の場面や役柄に合わせて、声の出し方や言葉の重みを確認することが大切でした。
実際に指導したモンゴル語のセリフは、決して長いものではありませんでした。けれども、その短いセリフを自然に聞こえるようにするためには、何度も確認が必要で、とても時間のかかる作業でした。
一つの言葉、一つの音を大切にしながら、声優さんや俳優さんが表現を調整していく様子を間近で見ることができました。声優さんの仕事を身近に見るのは、私にとってとても新鮮で、楽しい経験でした。
短いセリフの中にも、作品の世界観や人物の感情が込められているのだと感じました。
名刺を作るきっかけ
現場では、多くのスタッフの方々から名刺をいただきました。けれども、その時の私は自分の名刺を持っておらず、少し申し訳ない気持ちになりました。
その経験がきっかけで、あとから自分の名刺を作りました。
小さなことかもしれませんが、私にとっては「モンゴル語教室ノタック」として、外の制作現場に関わる責任を改めて感じた出来事でした。
見る側から、作品づくりを支える側へ
私はもともと映画を見ることが好きでした。
その私が、今度は作品を観る側だけではなく、作品づくりの現場に少しでも関わる立場になったことが、とてもうれしく、不思議な気持ちでもありました。
アニメ制作の現場では、声、映像、音響、演出、そして文化的な背景理解が一つになって、物語の世界が作られていきます。その中で、モンゴル語の響きや、13世紀モンゴル帝国の空気感を伝える仕事に関われたことは、とても貴重な経験でした。
今回の経験を通して、モンゴル語教室ノタックで続けてきた活動が、語学教育だけでなく、アニメ制作や文化表現の現場にもつながることを実感しました。小さな教室の活動ではありますが、モンゴル語、モンゴル文化、そして歴史への理解を、日本の皆さんに伝える一つの形になればうれしく思います。
これからも、ことばと文化をつなぐ活動を大切にしていきたいと思います。

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